犬のむくみで疑われる病気

動物の細胞は、たくさんの体液で占められており、普段は一定の量に保たれています。
しかし、何らかの異常で皮下組織に体液が過剰にたまる事で、むくみ(浮腫)と呼ばれる状態になります。
むくみはいろいろな原因で起こり、全身に起こる物と局所的に起こる物があります。

むくみの原因

全身性のむくみ

心臓や腎臓、肝臓の病気が原因の全身性のむくみは、数日から数週間かけて起こりますので、不調や異常を感じたら毎日注意して確認するようにしてください。

■心臓の病気
心臓から拍出される血液量が減少すると、腎臓で尿の産生を抑える抗利尿ホルモンであるアルドステロンが働き、体の中に水分を取り込みます。
犬の場合、主に犬糸状虫症、先天性心疾患、心疾患などが原因となり、体内の水分を取り込む働きが過剰になってむくみが生じます。
むくむと、咳が出たり呼吸に異常があったり、運動中に疲れやすい、失神する、元気がない、体重減少や、場合によってはお腹に水がたまり体重の増加が起こる事があります。

■腎臓の病気
腎盂腎炎や糸球体腎炎などの腎臓の病気もむくみの原因になります。
腎臓の機能が低下すると、水分やナトリウムが体内に過剰に貯留され、むくみが起きます。
体に必要なタンパク質が尿と共に排出されてしまい、タンパク質不足が原因もむくみを引き起こします。
むくみの他に、体重の減少や食欲減退、嘔吐、下痢などの症状が起こる事があります。

■肝臓の病気
肝炎や肝臓腫瘍などの肝臓の病気もむくみの原因になります。
肝臓は血液中のタンパク質の一種であるアルブミンを合成します。アルブミンは血液の浸透圧を調整するため、アルブミンが不足すると低アルブミン血症となり、末梢の組織に水分が貯留してむくみが起こります。
むくみの他に、体重の減少や食欲減退、嘔吐、下痢などの症状が起こる事があります。

■消化器の病気
リンパ管拡張症、慢性の下痢などの消化器の病気や機能低下でもむくみが起こります。
体に必要な栄養やタンパク質を吸収できずに低蛋白血症になるとむくみます。
むくみの他に、体重の減少や食欲減退、嘔吐、下痢などの症状が起こる事があります。

■アレルギー
食べ物やワクチン注射をなどが原因の急性アレルギーでは、主に目や唇の周囲にむくみが起きます。
また、体のあちこりに小さなこぶ状のむくみができる事もあります。

局所性のむくみ

体の一部に起こるむくみは、静脈やリンパの流れが部分的に悪いためや、炎症を起こして起こります。
フレグモーネや熱傷、感染症、肥大性骨関節症などが原因です。

■むくみが起こる場所
むくみが現れやすく観察しやすい箇所は、四肢や目、口の周囲です。

■冷感、痛みのない腫れ
むくみが起きている箇所の多くは冷たく、痛みがない腫れとして確認できます。
打撲や打ち身による腫れは、普通は触ると痛がったり赤くなっているため、様子や患部で判断できます。

■弾力がない
むくんでいる皮膚や箇所は指で押しても元に戻らず、指で押したままのくぼみが残ります。
このような場合は、腹水症、胸水症の疑いがあります。

むくみのケア

全身のむくみがある場合、心臓や腎臓、肝臓などの重大な病気が起因する事が多いので、油断はせず異常を感じたら速やかに獣医師さんの診断を受けましょう。
早期発見が早期診断に繋がり、愛犬の健康寿命の維持ができます。

 

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