犬が物事の知覚をする時に最も機能しているのは「鼻」の嗅覚ですが、これに次いで「耳」の聴力も活用しています。
犬は五感を嗅覚100%、聴覚70%、視覚50%、味覚20%、触覚10%で活用していると言われ、耳は鼻と並ぶ大切なアンテナなのです。
このようにとても大切な耳ですが、犬種によってその聴力には差があります。
形によって感度に差がある
犬の聴力には犬種の優劣や個体差があります。
なかでも聴力に大きく関わるのは、アンテナとして働く耳の形態です。
伝統的な日本犬やシェパードが持つような立ち耳のほうが、垂れ耳やボタン耳に比べ、音に対してより鋭敏です。
ぴんとまっすぐ立った耳のほうが、音波が直接的に、より早く鼓膜に届き、また、耳を前後左右に動かして「聞き耳」を立てることで音に集中することができるのです。
たれ耳やボタン耳も動かすことはできますが、立ち耳に比べれば能力は劣ると言われています。
大きな音が苦手
犬は聴力が敏感なため、大きな音や破裂音が苦手です。
雷や花火の音を怖がる愛犬の様子を見たことがある飼い主さんも多くいることでしょう。
子犬の頃から、電車の通過する音など生活の中の大きな音に慣らしておけば、平気なワンちゃんもいます。
ナイーブな子や大きな音が苦手な子は騒音などがストレスになりやすいので、繊細な子には静かで落ち着ける環境を作ってあげるとよいでしょう。
聴力の発達
犬の聴覚は、生まれたばかりはまだ働いていません。
生後10日頃までは、耳孔が塞がっていて聞こえないのです。
生後2〜3週間頃からじょじょに耳孔が開いて音に反応するようになり、吠えたり声を出すことを覚え始めます。
聴力を失った場合
犬が病気や何らかの怪我などによって聴力を失ってしまっても、生存行動に支障をきたすほどの問題にはなりません。
ただし、メス犬の場合は注意が必要です。
お母さん犬は、子犬の鳴き声で様子や要求を把握するため、耳が聴こえないと子犬の世話が難しいのです。
子犬の認識がしづらいことで、最悪子犬を放置したり、踏んでしまったりという事故に繋がる可能性があります。
耳が聞こえないメス犬の繁殖を考えている場合は、獣医さんや専門家と十分に相談をしたほうがよいでしょう。