犬の意識がはっきりしていて麻痺などがないにも関わらず、体が正常な動きができないケースがあります。
これを医学的に運動失調といい、まっすぐ歩いているつもりが曲がってしまうといった不自然な動きで気付けます。
運動失調には、脊髄性運動失調、小脳性運動失調、前庭性運動失調の3つがあり、中でも前庭性運動失調が原因のものが多く見られます。
主な運動失調
脊髄性運動失調
外傷や腫瘍などが原因で、筋肉や関節などからの感覚経路に障害が発生することにより起こります。
小脳性運動失調
小脳に何かしらの障害が起きて発生します。
足を揃えて立てずに開脚姿勢になったり、足を不自然に上げながら歩いたりします。
飲食時に頭の動きをコントロールできず、トレイに頭を突っ込んでしまうような事もあります。
前庭性運動失調
中枢もしくは末梢性の前庭系の障害によって起こります。
運動失調の原因
前庭の病気
前庭は内耳の一部で平衡感覚を司り、ここが病気になると平衡感覚が失われます。
中耳炎や内耳炎から前庭に障害が及ぶ事もあります。
特発性前庭症候群
特発性前庭症候群は比較的発生しやすいのですが、はっきりとした原因がわかっていないため特発性と呼ばれています。
犬は10歳を過ぎると発症しやすくなり、老年性前庭症候群と呼ぶ事もあります。
前庭は頭や目、体幹を重力に対して正しい位置に維持する機能を持ちます。
片側性の前庭疾患がある場合、障害がある方へ体が傾いたり、ぐるぐる回り続ける事がありあす。
眼球が無意識に水平、垂直方向に震えるように動く現象も見られます。
不自然な動きで確認する事
頭部が傾く
特発性前庭症候群の場合、頭が傾く事がよくあります。
他の症状がある
特発性前庭症候群の場合、嘔吐や食欲不振がよく起こります。
水を飲む時や歩行時の様子を確認し、以前と違っていないか、不自然な行動を起こしていないか確認してください。
運動失調のケア
特発性前庭症候群や何かしらの運動失調を起こしている場合、治療をせず放置していると症状が進行していきます。
動作がおかしく、少しでも異常を感じられたら、必ず動物病院に連れていき診断を受けましょう。
平衡感覚を失っている犬は、恐れや不安から暴れたり噛み付いたりするので、十分に注意してください。