犬の嗅覚は物事を認識する最重要器官ですが、これに次いで機能しているのは聴覚です。
犬の五感の活用度は、嗅覚100%、聴覚70%、視覚50%、味覚20%、触覚10%と言われており、耳は、鼻と並ぶ大切なアンテナなのです。
鼻に次ぐNo.2の重要な器官
元来野生の状態の犬は、においと音で獲物や敵の位置を知り、捕食したり安全を図ってきました。
このため、嗅覚だけでなく非常に優れた聴覚も発達しました。
例えば、飼い主が帰ってくる足音をいち早く察知することができます。
車や雑踏のさまざまな音の中から、正確に自分の主人の足音を聞き分けることが可能なのです。
嗅覚との大きな違いは、聴覚は睡眠中でも機能していることです。
嗅覚は、犬が嗅ぐという意志がなければ情報は脳に伝達されません。
眠っていた犬が音を聞きつけて突然起きる行動は、野性時代の名残です。
獲物や敵は、寝ている間も待ってくれないため、迅速な対応が必要だったのです。
このように、本来犬にとって聴覚は命に関わる情報に直結するため、耳はとても大切です。野生犬は耳が立っており、垂れ耳はいないと言われています。
人間には聞こえない音も聞こえている
人間の耳に聞こえる範囲の音は、毎秒16〜20サイクルから20キロサイクルまでに対し、最も聴覚が優れた犬の場合、毎秒120キロサイクルあたりの音まで聞き取ることができます。
これは、人の世界では超音波として扱われる領域の音。
超音波の特性を利用しているのが犬笛で、密猟者に気づかれないように猟犬を呼び寄せたりする際にも使われています。
遠くの音もよく聞こえている
音の高低だけでなく、聞き取れる音の範囲も人よりもとても優れています。
人間が4m程離れるとキャッチできるなくなるような音も、20m以上離れていてもキャッチできるという実験結果もあります。
さらに、物が落ちる音は、人間の400倍の距離からでも聞くことができるという報告もあります。
音が聞こえてくる方向を認識する能力も人より発達しています。
通常、人が識別できるのは16方向からの音ですが、犬の場合は32方向から音をキャッチでき、人よりより細かく物事の方向を認識しています。